ショートをねらえ！ [カープ]
今朝の広島版スポーツ誌には、大学・社会人ドラフトでカープからトップ指名を受けた梵（そよぎ）英心選手の仮契約の話題が掲載されていました。各紙に踊った「開幕スタメン」「新人王」「野村2世」など見出しや、契約金1億円、年俸1400万円（金額は推定）という数字からも、梵選手への周囲からの大きな期待や高い評価が伺えます。それもそのはず、梵選手は今夏の都市対抗で打率.524で首位打者を獲得。俊足、強肩としても知られている、社会人No.1ショートだからです。カープは今シーズン尾形選手が故障で離脱した後、「ショート」のポジションを固定できず苦しんだだけに、即戦力の呼び声高い梵選手の獲得は今ドラフト最大の収穫と言ってもいいでしょう。
来季のカープは、ショートの激しいポジション争いが予想されます。梵選手はもちろん、秋季キャンプで大きくクローズアップされてきた松本選手、シーズン終盤ショートに固定されていた山崎選手、巻き返しを図る東出選手、故障から復帰する岡上選手や尾形選手…他にもポジションをコンバートして狙っている選手などもおり、間違いなくショートは最激戦区。しかし、現在は抜けた存在の選手はおらず、完全な横一線です。
この争いから一歩抜け出すために、必要なこと。解説者の大野さん曰く「まず、自分を知ること」そして「こだわりを捨てて自分のスタイルを変える努力をすること」だそうです。しっかりと自分を分析し、変えるべきところは素直に認めて変える努力をする。これはサンフレッチェの小野監督が昨年チームのテーマとしての掲げた「自分の殻を破る」という言葉にも通じる部分でしょう。選手達にはぜひそういったことを考えながら、来季に向けて今から準備してもらいたいと思います。
ブラウンイズム、着々と [カープ]
カープの日南キャンプも、はや中盤にさしかかりました。まずは選手のことを知るため、と静観していたブラウン監督ですが、第２クール以降、少しづつ独自色を発揮し始めたようです。
その一つが守備位置の変更。内野手も、外野手も従来のポジションよりセンターラインよりにポジションを取ることで守備の安定を図る、との意図があるようです。そうなればもちろんライン際のボールがヒットになる確率は高くなりますが、「何かを取ると言うことは、何かをあきらめること」と持論を展開します。守備の扇の範囲を狭めることによって、その範囲内を強化することの方が、より広い範囲を守ってほころびを見せるよりもいい、と判断したのでしょう。選手達も最初は慣れないかもしれませんが、昨年もリーグ最多の失策を記録しているだけに、新たな試みも試す価値はあるのではないでしょうか。
『ブラウンイズム』はこれからも徐々にそのヴェールがはがされていくでしょう。果たして次はどんな『サプライズ』で私たちを楽しませてくれるのか。その内容に期待しつつ、これからのキャンプに注目していきたいと思います。
日南キャンプスタート [カープ]
ブラウン新監督率いる新生赤ヘル軍団が日南でキャンプインをしました。71番の真新しいユニフォームを身にまとったブラウン監督は、早速随所に新風をもたらしているようです。
まず、カープ恒例の朝の散歩は廃止。さらに練習時間も昼食を含めてわずか4時間。例年の2/3程度となり、選手達は午後2時からフリーとなりました。かつてカープの代名詞であった『地獄の猛特訓』とはほど遠く、どちらかといえばアメリカ式の選手の自主性を重んじるキャンプとなっているのです。
自分のペースに合わせた練習ができるため、選手達にはより一層の自覚が求められることになります。これまでガチガチに拘束されていた時間がなくなったことで、特に若手の中には戸惑う選手もいるかもしれません。しかし、こういった自由な時間が多ければ多いほど、周りの選手と差を付けるチャンスも大きくなります。
自主性を重んじる調整と言えば、去年セ・リーグを制した中日の落合監督の『オレ流』がまさにそれに当たるといえるでしょう。自由な時間を有効に使う選手が多く現れ、よりハイレベルな競争がカープでも行われることに期待したいと思います。
ゼロからの出発だからこそ [カープ]
来シーズンからカープの打撃コーチに就任することになった小早川さんが、今日、球団事務所で就任会見を行いました。10年ぶりにカープのユニフォームに袖を通すとあって「身が引き締まった気分です」と緊張感を見せたものの、カープ再生に向けての熱い思いをその姿からは感じることができました。
小早川さんが会見で話した中に、こんな言葉がありました。「カープを離れて10年経って、接していない選手がほとんどです。そういった意味で、選手たちと真っ白な気持ちで接することができ、『ゼロからの出発』と言えるのではと思っています」。
『ゼロからの出発』。小早川さんだけでなく、監督のブラウン氏ももちろん、接していない選手がほとんどです。二人ともこれまでの実績なども全て白紙の状態で選手を見ることになります。ブラウン監督は11月1日から始まる秋季キャンプで積極的に紅白戦を行い、戦力を見極めていくようです。出場機会に恵まれなかった若手選手、結果を残すことができなかった選手にとっては、全てをリセットしてもう一度自分の力を発揮できるこれ以上ないチャンスが訪れたといっていいでしょう。
解説者の大野さんが以前、「ここ最近のカープはチーム内のポジション争いのレベルがあまり上がっていない。ポジションも『つかんだ』というより『与えられた』という感じがある」とおっしゃっていました。来シーズンこそは、フラットな競争の中で「自分でポジションを奪い取るんだ！」という選手が数多く現れることに期待したいと思います。
野村選手の思い [カープ]
2005年シーズンもとうとう終わってしまいました。市民球場での最終戦、すごかったですね！野村選手が打席に立ったときの真っ赤に染まったスタンドは、現地には行かず会社でお留守番の私がテレビで見ていても身震いするほどの迫力でした。現在プレーオフ真っ只中の千葉ロッテマリーンズのコーチで、カープＯＢの高橋慶彦さんは、「市民球場を全部、自分のファンでいっぱいにする」ことが夢だったそうで、実際３３試合連続安打の日本記録を達成してその夢を叶えたのですが、あの日の市民球場もまさに「野村選手のファンでいっぱい」の状況でした。カープ一筋でたくさんの愛と情熱をこの球場に注いできた野村選手にとって、あのスタンドは最高のファンからのプレゼントだったのではないでしょうか。
野村選手の引退について、解説者の大野さんは「とうとうそういう時期が来たのか、っていう思いがあるよね。つい何年か前に自分の引退試合で彼が守ってくれて涙を流してくれた選手がユニフォームを脱ぐんだから」と少し寂しそうに話していました。「カープを強くしたい、という思いを持って、厳しい指導を受けてもそれを乗り越えて頑張ってきた選手だからね。前回の優勝を経験した選手がまた一人いなくなるし…」。
カープが優勝をしたのはもう14年も前。優勝の美酒を知るのは、ほんの一握りのベテラン選手だけとなりました。野村選手もきっと、自分が現役のうちにもう一度優勝し、その喜びを後輩達に伝えたかったことでしょう。それだけに残された選手達には、野村選手の「カープを強くしたい」という思いをぜひしっかりと受け継いで、常勝カープを再び築きあげてもらいたいと思います。
ミニ甲子園に思う [カープ]
先週末の市民球場は、土日共にほぼ満員の観客がスタンドを埋めつくしていました。しかし……その大半は虎ファン。試合前から阪神のレプリカを身にまとった人たちが街を闊歩し、場内を見渡せばレフトのみならずセンターも黄色いメガホンで揺れる有様。カープ球団がなりふり構わず売り出した阪神ファン向けの『六甲セット』の効果もあってか、カープがアウトになった方が球場が沸く、という異様な光景が繰り広げられました。
一方のＪリーグ。１週間前に行われたサンフレッチェとレッズの試合でも、今季最多の入場者数を記録しました。こちらのスタンドはまばらながらもほぼ紫色、と言ったエリアが大半を占めたものの、ほんの一角（といっても3000人以上がいましたが）を占拠したレッズサポーターの応援に終始圧倒。全員が腹の底から声を出している（？）と思われる声援が絶えることなく続く姿は、敵サポながらもちょっと考えさせられるものもありました。
ホームで戦うことのメリットの一つに、地元の声援をたくさん受けられる、ということがありますが、アウェーでのまるでホームスタジアムのように変えてしまう阪神ファン、レッズサポーターは本当に恐るべし、です。先々週、先週とちょっと悔しい思いをしましたが、両チームともまだ今シーズンのホームでの試合は残っています。サンフレはまだ優勝を諦めていないし、カープの最終戦は山本監督、野村選手といった長年チームに貢献してきた方達の引退試合でもあります。今度はなんとしてもスタンドを赤と紫に染め上げて、選手達を後押ししたいですね！
