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2月号編集後記 その1・佐藤寿人選手 [サンフレッチェ]

 2月に入った途端、ちょっと更新頻度が落ちたこのブログ。更新した2回がラジオ出演の話のみで、それがなかったら…ゼロだった可能性も。そもそもサンフレッチェがキャンプ中で自分が取材に帯同していないので基本的にネタがないのですが、それでもありがたいことに何かを期待して頂いているようで、アクセスカウンターはいつも通りに増えています(笑)。ということで、そのアクセスカウンターに応えるべく、ちょっと遅くなりましたがHAの宣伝も兼ねて、寿人選手の編集後記です。

 取材をしたのは昨年末。チームが天皇杯を勝ち進んでいるときでした。取材を申し込んだ段階では寿人選手はまだ契約を更改しておらず、新聞紙上を見ると少し残留に対して微妙なコメントを残していたりして、『まさか…』なんて思っていましたが、その心配は無用。取材日までにはしっかりと契約して、インタビューでもチームへの思いを熱く語ってくださいました。

 ラジオでも話したように、寿人選手は自分からどんどん話してくれるので、インタビュアーのはずの私はほぼ聞き役。その頼もしい言葉に聞き惚れつつ、一番感じたのはやっぱり『男気』のある選手だな、とということでした。

 『J2を戦うことで自分にとってマイナスな面はない』なんて、その言葉だけ聞くと多くの人が否定しそうです。代表のこともあれば、自分自身のキャリアやスキルアップを考えても、やはり国内トップリーグだからこそ得られるものがあるはず。そこに行きたくても行けない選手が多数いる中、自分からその道を絶つ選手はそう多くありません。でも寿人選手はサンフレッチェを選びました。理由の1つに「J1のチームに行っても、そのチームですぐに自分のプレーを理解してもらえるか分からない」なんてことも挙げていましたが、やっぱり一番は「降格させてしまった責任」と「この悔しさを晴らさずにはいられない」という強い思いがあったからだと思います。

 『責任』というものを背負わせたとき、それが大きくなれば大きくなるほど、弱い部分が顔を出してそこから逃げてしまいがちな人も多いと思いますが、寿人選手は違います。まるでその『責任』こそがエネルギーと言わんばかりに、背負わせれば背負わせるほど意気に感じて頑張ろうとするのです。そんな選手だからこそ、『J2を戦うことで自分にとってマイナスな面はない』なんて言葉も出てくるし、真っ先にサポーターの前で残留宣言ができたのではないでしょうか。

 調子がいいときに力を発揮することは簡単でも、苦しいときに本当の意味で踏ん張るのは難しいことです。でも寿人選手はそれができる。きっとそれは、寿人選手がメンタル的にかなり強いからのように思います。残念ながらサンフレッチェはJ2に降格してしまったけれど、寿人選手のこの強さがもっとチームに浸透すれば、本当に強い戦う集団になれるのでは…(とちょっと独り言)。今年はまずエースとしてのプレーに大きな期待がかかりますが、さらにそれと同じくらい大切なものをチームに与えてもらいたいと思います。というより、周りが自分から吸収していかなければなりませんね。私も見習わなくては。

 何だか最後は編集後記とは別次元の話になってしまいましたが、とにかく今年、個人的にもものすごく期待している選手の1人、ということで強引にまとめます(苦笑)。

 そしておまけとして、一問一答フルバージョンもお楽しみ下さい。長いのでお暇なときにでもどうぞ。

Q1、2007シーズンを漢字一文字で表すと?
「う〜ん…。漢字一文字…。やっぱり『苦』しいっていう字ですかね。やっぱり苦しいシーズンだったと思いますし、みんながいろんな立場で悩んで、っていうのもあったと思うし、結果としても降格してしまったので。非常に苦しいシーズンだったな、って」。

Q2、一番大切にしている宝物は?
「大切にしているもの。なんだろう。なんですかね…。存在、っていう意味ではやっぱり家族が一番です。家族と…でも、ものっていうのはあんまりないですね」。

ーー昔、サッカーでももらった記念品とか…。
「そういうのは持ってますけど、飾ってるくらいですからね。なんすかね。大切にしているもの。ちょっと違うかもしれないけど、僕は結構かばんを持つのが好きなんです。いろんなかばんを買ってしまって「また買ったの?」って嫁には言われます」。

ーーいつも違うカバンを持っている?
「そうですね。服装とか、気分によって。あとは試合で負けたときとかはまた次はカバンを変えてとか、そういうことはしています」。

Q3、タイムマシンに乗ったら、いつのどこに行きたい?
「タイムマシンに乗ったら…。どこっすかね。どうなんだろう。一番は、今年(2007年)の(チームの調子が)よかった頃ですね。あとは、去年ワールドカップのメンバーに発表される前。キリンカップで結果を残せなかったので、そのときに。でも、あんまり戻りたいな、って思ったことはないんです。そういうのも全部、自分の力だと思っているので。振り返るのは本当に近いときくらいで、時間経ったらあまりそういうことはしないんです。やっぱりこの世界は取り返しがつきませんからね。それよりも今いる状況だったり、今持っているものをどれだけよくできるかを考えていった方がいいのかな、という想いもあります。ただ、ワールドカップは自分の中でも大きい大会の1つでしたし、もう少しでメンバーに入れるところにいたので、キリンカップで結果が残っていればドイツに行けたかもしれない、という部分で、もし選ぶとしたらそういうところかなと」。

Q4、もしサッカー選手になっていなかったら?
「これ、よくいろんなところできかれるんですよね。でもサッカーをやってなかったら、っていうのが想像できないくらいずっとサッカーやってますからね…。たぶん、学校の先生か何かだと思います。中学の時の担任の先生が本当にいい先生だったから、サッカーをしていなければ、その先生の影響を受け手学校の先生になりたいと思ったんじゃないかなと」。

Q5、遠征の時、移動中は何をしていますか?
「移動中は、本を読んでますね。経済の本とか、会計の本とか」。

ーー勉強しているんですか?
「勉強というか…高校卒業してすぐにプロの世界に入って、基本はサッカーをやってお金をもらっているから、本当の意味での社会っていうのは経験していませんからね。そういうのをもっとより多く知っておきたいな、って思うのと、やっぱりサッカー界でもいろんな業界のいろんな会社とのつながりがあって、広い目でいろんな状況を見られた方がいいな、っていうのがあるんです。サッカーの世界しか知らないんじゃ、考え方が狭くなってしまいますからね。今、日本で何が起こっているとか、世界で何が起こっているのかを知っておくのもすごい大事だと思っています。前はゲームをしたりとか、そういうのに費やしてたんですけど、逆に移動の時くらいしかなかなか自分の時間がとれませんからね。その時間をうまく活用したかったので、最近は本を読んで何か自分のためになるようなことを探しています」。

Q6、思い出のキャンプは?
「いろんなところに行かせてもらって、やっぱりそれぞれ良い思い出もあります。ただトルコに行ったことっは自分の中でも大きいです。ヨーロッパのクラブの選手とトレーニングマッチをする機会は、なかなか日本ではないし、そういう考え方もJのクラブにはあまりありませんからね。ペトロヴィッチ監督が来て、そういう機会を得ることができて本当にいろんな部分で勉強になります。その経験は、例えば代表でヨーロッパの相手と試合やるときとかにも活かされてくると思うし、トルコでできたのはすごく楽しかったです。僕はすごくトルコでの生活も好きでした。食事もすごくおいしかったですし。みんなは結構「飽きた、飽きた」って言っていたけど、僕は食事はそんなに気にはならなかったんです。トルコはすごいお米は固めに炊いてあるんですけど、僕もお米は固い方が好きですし。あとはそこに家族がいればもっといいんですけどね(笑)」。

Q7、下田選手はどんな人?
「シモさんすか? いや、もう、やっぱりサンフレッチェの歴史をすごい知ってる選手だと思います。いいときも苦しいときもほんといろんな選手を見て、いろんな監督の下でサッカーをやってきてる選手だと思うので、たぶん一番サッカーを知ってるんじゃないかな、と思います。周りから見ると静かな人だと思われていますよね。僕も移籍してきたときはシモさんが話しかけてくれただけで嬉しかったくらいで、全然話してくれなかったんです。でも最近は普通に話ができるようになりました(笑)。3年いて、やっとシモさんの中にも僕がちゃんと入っていったんだな、って(笑)。ほんとに僕が移籍して1年目のときなんかは、シモさんが話しかけてくれただけで、冗談で風呂場でカズと浩司に「シモさんが話しかけてくれたよ」って喜んでた話してたくらいでしたからね。でも今は結構後輩からもいじられたりしていて、いい意味で明るくなったんじゃないかな、と思います」。


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のぶ母

Jackyさん おはようございます♪

ラジオは残念ながら用事があって聞けなかったんですよ(TT)
HPでお顔がわかったので、今度お見かけしたら勇気を出して声をかけさせてもらってもいいですか???

ブログは寿人選手のことを載せてくださって、ありがとうございます♪
今、仕事が休み期間なのですが、練習を見に行けなくてムズムズしていたのでとっても嬉しかったですよ♪
寿人選手のコトを知れば知るほど、応援する気持ちが大きくなります☆

これからも色々教えてくださいねm(__)m♪
by のぶ母 (2008-02-08 09:49) 

Jacky

のぶ母さん、おはようございます!
ラジオの方ではメールを送って頂き、ありがとうございました♪
今度、練習場などで発見したら、ぜひぜひ声をかけてください!!

寿人選手は、ほんとすごいと思います。
頭もよくて気持ちも強くて優しく、もちろんサッカーでも日本トップクラス。素晴らしいです。
寿人選手がガッチリとサポーターの心をつかんで離さないのもよく分かります。

今シーズンもちょいちょいサンフレッチェ情報…というより私のひとりごと(?)を載せていきたいと思いますので、またぜひ見てください。
by Jacky (2008-02-08 10:59) 

ウィのニャ

こんばんは。
選手との Q&A とてもリアルでわかりやすいです。
下田選手ってシャイな方だったんですね。
寿人選手だけでなく、J-Leaguer みなさんが抱えている問題かもしれません。
他種スポーツ選手同志の交流なんかも、人生勉強になると思いますね。
ボールを蹴っているだけが、サッカーじゃない気もしますし。^^
by ウィのニャ (2008-02-08 19:54) 

Jacky

セキグさん、こんばんは。
寿人選手はQ&Aでもたくさん話していただいたものの、
誌面ではごくごく一部しか掲載できなかったのでババンと載せてみました。

こういうところでも寿人選手の意識の高さは窺えますよね。
サッカーのことに集中してしまうとなかなか外に目を向けづらいですが、寿人選手の向上心はほんとどん欲です。
これを他の選手にやれと言っても…特に若い選手はなかなか難しいでしょうね(苦笑)。
頭で分かっていても、遊びたい気持ちの方が先行してしまうでしょうし。
Jリーグはプロ野球と比べるとキャリアサポートへの取り組みも活発なように思いますが、もっと裾野が広がればいいですね。
by Jacky (2008-02-08 20:58) 

マスターN

ご無沙汰です。
以前から、佐藤選手のクレバーな面には感心していました。
インタビューの受け答えなども、社会人としての常識をわきまえているし、第一、正しい日本語を話せるJリーガーはそうそういないですよね。

「やっぱぁ~」とか「ん!そうっすねぇ~」とか・・・。
もちろん、アスリート全般にいえる事ですけど。
とにかく、日本を代表するバリバリの代表選手だって聞くに堪えない連中はゴロゴロいますよ。

そんな訳で佐藤選手。私が常々ブログで吠えている「アスリートはスポーツ馬鹿では駄目だ!」を実践している数少ないアスリートだと思います。
活躍・躍進を期待したくなってしまうのです。

ではまた明日。
by マスターN (2008-02-13 10:49) 

Jacky

マスターNさん、こちらこそご無沙汰しております。
確かに寿人選手の受け答えは、素晴らしいと思います。
今でこそチームでも中堅になりましたが、
これがサンフレッチェに移籍した当初、23歳頃から今と変わらぬ受け答えで、当時から「若いけれどしっかりしているな」という印象を受けたのを覚えています。
以降も取材をさせていただいているこちらが勉強になることも多々あるくらいです。
彼くらい高い意識を持っている選手が増えれば、スポーツに対する見方もまた変わってくるかもしれませんね。
子供達のヒーローである選手達には、やはり手本となるべき姿を見せてもらいたいと思います。
by Jacky (2008-02-13 12:07) 

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